キタノカオリ小麦

豊かな風味を持った秋まき小麦

これまで北海道産強力粉といえば、春まきの「はる」とつく小麦が主流でしたが、国産小麦と西洋小麦のハーフとして誕生したキタノカオリ小麦は、秋まき小麦ながらパンに向く高たんぱくをもつ小麦粉です。春系小麦と比較して安価で手に入るため、より手軽に北海道産ベーカリーライフを楽しむことができます。

「キタノカオリ小麦」は北海道の「ホロシリコムギ」とハンガリーの「GK-Szemes」という製パン製に優れた小麦を掛け合わせて作られました。 たんぱく質量がはるゆたか並みに高く、クセのないマイルドな風味の強力粉です。独特の鮮やかで黄色みの強い粉色をしているのが特徴です。パンやラーメンには春播小麦を初めとした強力系小麦が適していますが、キタノカオリは秋播小麦でありながら独特の特徴を持った小麦粉です。
吸水性がよく、小麦の中心部から外側の部分まで幅広く含んでいますので、淡白含量・栄養価が豊富です。粘弾性があり硬くしっかりした生地になりますので、加工適正が良好です。
生地は香りが良く、やや甘みがあるのが特徴で、素朴で味わい深いパンを焼きたい方におススメしています。

生産量の減少により幻になりつつあります

近年、生産量が減少傾向にあるキタノカオリ小麦です。原因は気候変動。北海道地域は梅雨のない地域として6月7月の晴天率が高い地域でしたが、近年この時期に長雨が降る蝦夷梅雨と呼ばれる天候が続いております。キタノカオリ小麦は特にこの収穫期の長雨に弱い品種で、黄色く乾燥した状態で雨が当たると「穂発芽」と呼ばれる麦から新芽が出てしまう現象に見舞われます。そのため、キタノカオリ小麦から別の作物に変更をする生産者・地域が増えております。

今後も減少傾向なのは間違いありません。現在市場でも在庫の争奪戦となっており、価格は長期的にみて1000円/25kg前後値上がりし、それでも入手困難になるとみております。現在ベーカリー さんなどでキタノカオリをご利用の方は、別の品種への乗り換えをお勧めいたします。

ただ、人気の高い品種である事は私たちも生産者もわかっておりますので、今後新しい気候でも安定して収穫することができる農法が開発され普及された場合、また市場に復活してくる可能性は十分あります。この辺りを踏まえてご利用ください。